003:冷蔵庫



「相変わらず酒とつまみばっかだなぁ…」

冷蔵庫を開けて、しみじみとサンジは呟く。

酒瓶が数本とビールの缶が1ダース。

漬物数種、チーズにサラミ…生ハムなんてものもあるが、どうせそのまま食べるのであろう。

なんとなく予想はしていたものの、ゾロの部屋の冷蔵庫は実に素っ気ない。まるで、ここの住人そのものだ。

まともなメシ食ってんのか?などとぶつぶつ言いながら、先ほど購入した夕飯の材料を詰め込んでいく。

ちらりと横を見ると、スーパーの袋から柿ピーと落花生がはみ出していた。

(…ぜってーまともに食ってねぇ)

サンジは、隣の部屋でラフな服装に着替えているゾロに、呆れた声をかける。

「お前なぁ、メシくらいちゃんと食えって、いつも言ってるだろ?運動やってる人間とは思えねえな」

「あ?バイト先で賄い食ってるから、問題ねえだろ」

シャツの襟から首を出しながら、のほほんと答える。

何度同じことを言われようが、気にする風でもないゾロに、サンジも呆れて溜息を零す。

「賄いだけで身体が作れると思うなよ?ったく、いつか身体壊しても知らねえぞ?」

文句を言いつつも、動かす手は止めず、食材を納めて冷蔵庫を閉める。

コーヒーでも入れるかと、この部屋には存在しない薬缶の代わりに、鍋でお湯を沸かす。

呆れ果てて、油断、していた。



「その前に、お前がちゃんと食わしてくれんだろ?」



ふわっとした、笑顔で。

当たり前のように。

一瞬にして、サンジの顔がゆでダコになってしまったとしても、彼に非はないであろう。







きっと2人は大学生のひとり暮らしとかで、お互いの家を行ったり来たり。
サンちゃんは、時々ゾロにご飯作ってあげたりしてるんだろうなー。
ゾロ、完全に餌付けされてます。