028:道化






一度目は、ただの偶然だった。

一瞬だけ目が合った。

それから時々、その目が脳裏にちらついた。



二度目も偶然だった。

少しだけ、言葉を交わした。

片時も忘れられない存在になった。



三度目は、歓喜に体が震えた。

求められたから、答えた。

貪るように体を繋いだ。






四度目の邂逅。

敵だと知った。

殺さなければならなかった。

……けれど、引き金を引くことができなかった。






銃を向け合いながら、体の熱をぶつけ合う。

滑稽な二重生活が、俺を満たす。



















表面では殺し合いをしているのに、裏で抱き合ったりするマフィアな2人が好きです。
きっとこれは、2人がまだトップを張っていない時代の話。