032:テーブル
「ぅ…はっ……んあっ…」
煌々と照らされた室内で、切なげな喘ぎが響く。
それは、決して否定するものではなく、どこか期待すら含んでいた。
「っあ!!」
「あれ、イイところ、掠っちゃった?」
先ほどから微妙にポイントをずらし、悪戯に感じる場所を掠めてはまた離れていく…。
サンジの長い指が2本、ゾロの中を動き回っていた。
ゾロは、キッチンのテーブルの上に座らされ、着ていたものはすべてサンジの手によって剥ぎ取られていた。
足はテーブルの端に掛け、大きく割り開かれている。
すべてをサンジに曝け出し、その状態に自ら興奮を覚え、ゾロ自身はすでにそそり立っている。
サンジは決してゾロに触れることなく、右手の指だけが蠢き、ゾロにじれったい快感を与え続けていた。
「ゾロ…」
ビクンと、ゾロ体が跳ねる。サンジの低い声が、吐息とともにゾロの耳にかかった。
「あっ……サンジ…!」
「ん?何?」
潤んだ瞳でサンジに訴えるが、彼は言葉を求めた。
「どうして欲しいの?ちゃんと言わなきゃ。…ほら」
「…っ………」
時々前立腺に触れながら、サンジはゾロを待った。
ゾロは決して、イヤがっているわけではない。
言葉は羞恥心を煽るが、それがまた快感に繋がっているということをサンジは知っていた。
「ほーら」
「っあう…!」
指を中で広げ、グルっと掻き回す。
「ね、どう?ココだけ触れられてるのって。いつもは全身隈なく愛してあげてるけどさ。たまにはこういうのもイイだろ?
敏感な部分だけを犯されるって、どんな気分?」
「やっ……」
「や、じゃないでしょ?ほら、言ってごらん」
そう言うと、途端にサンジは激しく指を抜き差しする。
前立腺をダイレクトに突いてくるその動きに、とうとうゾロは理性を飛ばした。
「やあああああああ!!!あっ…ソコ……もっと!サン…ジっ…!ひぁ…っ!ああっ!!」
喘ぎ、腰を揺らしながらも、ゾロはサンジに向かって伸ばしそうになる手を、テーブルクロスを握り締めることによって耐える。
はじめに「サンジが許すまで触れない」ことを約束させられていたからである。
サンジ曰く、「偶には違う趣向もいいだろ?」である。
触れようが触れまいが、大した違いはないんじゃないかと思っていたゾロは、それが大きな誤りであったことを、身をもって実感した。
想像以上に、触れないことによる一点的な快感が凄まじく、そしてそれに溺れていたのだった。
ゾロの先端から次々と溢れ出る液体が、白いテーブルクロスを濡らしていく。
「ゾーロ」
サンジが、小悪魔のような顔で囁く。
「言ってごらん?指だけでイっちゃっていいの?…さ、何が欲しい?」
「…っあ!……あぅ…サ………サンジ…のがっ…はぁっ………欲…しいっ…!!」
「…よくできました」
「っはあああああああ!!!」
サンジのモノが、ゾロを貫く。喉が仰け反り、全身に電流が走る。
「っ…すげぇ、ゆっくり味わうつもりだったのに…あっという間に入っちまったよ…なあ、ゾロ?」
腰を揺らし、ゾロの反応を楽しむ。ゾロの握り締めている手は、真っ白になっていた。
サンジは、人差し指を繋がっている部分に持っていき、つつっ…とゾロを撫でる。
「ぅあっ…!」
「ココ、丸見え。ヒクヒク動いてるぜ?そんなに美味い?」
言いながら、グラインドを開始する。ゾロは、なすがままに揺さぶられる。
そこだけ触れられ、犯される感覚に感じ入っていたが、次第にテーブルの冷たさに違和感を覚え始めた。
「あっ…サン…ジ……あうっ!」
「ん?何?」
サンジの目が、ゾロを捉える。
愛おしげにゾロを見るその青い目が、ゾロは好きだった。
だが、好きなその目が自分だけを見ていると分かっていても、それだけでは足りなかった。
…そう、足りないのだった。
「なあっ、サンジ……お前にっ……触れ…たい…!」
全身でサンジを感じたい…でなけりゃ、サンジと繋がってる意味がないような気がした。
サンジは、驚いたように目を見開き、そして嬉しそうに細めた。
「ゾロっ!」
サンジは勢いよくゾロに抱きついた。倒れ込んだ衝撃で、テーブルがぎしっと鳴く。
ゾロは、サンジが抱きついた拍子に、更に深く入り込んで来た熱いモノに喘ぐ。
しかし、全身で感じる熱に、安堵と満足感を得た。
「ゾロ…俺に触れてよ。お前の全部で、俺を感じてくれ」
約束は約束。
たとえ半分脅しのようなものでも、どんなにくだらなくとも、自分でしてしまった約束を、自ら反故にするのは抵抗があった。
しかし、サンジは意外とあっさり約束を解除した。
よっぽどゾロから求められたことが嬉しかったのだろうか、サンジも、触れられることを望んだ。
ゆっくりと、ゾロはサンジの背中に腕を回す。
指を滑らせ、その感触を楽しんだ。
(ああ、やっぱコレがなきゃな……)
常にそこにあると、気付かないことも多い。
普段と違う環境に置かれて、初めて気付くこともある。
(確かに、偶には趣向を変えるのも…いいのかも知れねェな…)
そんなことを口にすれば、どうなることか分からないので、心の中で呟くに留める。
しばらくお互いの体温を確かめていたが、サンジが体を起こす。
「ゾロ…動くよ…」
情欲に濡れた目でゾロを見、唇に触れるだけのキスを寄こす。
ゆっくりと、サンジが動き始める。
「…んっ、あぁ……」
ぐちゅぐちゅと音を立てながら、サンジは段々と動きを速めていく。
ギリギリまで引き抜き、ズズっと差し込む。腰を大きく回したかと思うと、小刻みにゾロの感じる部分を突いていく。
ゾロの腕は、縋るようにサンジの腕に添えられていた。
テーブルの端から足がずり落ちると、サンジはゾロの足を抱え、自分の肩に乗せる。
そうしてより密着すると、ゾロとしては少々苦しい体制ではあるが、サンジが更に奥まで侵入してくる。
張りつめた熱を体の奥底で感じ、刺激を逃すまいと、ゾロの腰も揺れる。
テーブルの固さは背中に痛みをもたらすが、それよりも、目の前の熱を感じたかった。
サンジの動きが、激しくなる。
「ああっ!はぁっ…、ぅあっ!……サ……ン…ジっ…!あああっ!!」
「ゾロ…ゾロ…っ!」
「あっ、…っ、や…イク…っ…やぁっ、あっあっあ、………っあ!…あああああああっ!!!!」
どくん、快感が頂点に達した瞬間、中にも熱いモノがぶちまけられた。
2人の呼吸が落ち着き始めた頃、サンジが身を起こす。
ゾロの腹を汚す、ゾロ自身が吐き出したものを指で撫ぜながら、ふとテーブルクロスを見る。
「あ〜あ、ぐちゃぐちゃ……」
皺だらけになったそれは、ゾロの白濁と2人分の汗にまみれていた。
「…ったりめェだろ。てめェがこんな所で盛るからだろうが」
まだ息が整わないままも、悪態をつくゾロに、サンジはにっこりと笑いかける。
「あんただって、十分善がってたじゃん」
笑いながら、まだ繋がったままのソコをくっと動かす。
「んあっ」
「ほら」
「…ヤメロっ!」
顔を赤く染めながら、金色の頭をはたく。
サンジは笑いを苦笑いに変えながら、ゆっくりと自身を引き抜きにかかる。
抜けていく感覚に甘い疼きを感じながらも、ゾロは目を閉じてそれをやり過ごす。
その耐える顔が可愛らしくて、また立ちそうになる。
ココでもう一発ヤるとゾロに怒られるので、とりあえず今は我慢する。
サンジが抜けきったそこは、まだ軽く収縮を繰り返しており、サンジが中で出したモノがトロトロと溢れてくる。
「うわ…ヤラシイ……」
思わず見入ってしまったサンジは、また頭をはたかれる。
「見るな!阿呆!」
「あ、いいコト考えた〜!」
はたかれながらもメゲないサンジは、今度はにやりと厭らしい笑みを浮かべる。
「……何、だよ」
ゾロは、そこはかとなくイヤな予感を感じつつ、後ずさりしてしまう。
剣士が逃げるなんて恥だって?こんな不穏な空気をまき散らすコイツの前では、そのプライドだって無意味だ。
逃げ腰になっていようが、所詮は一戦交えた後の身体である。まだ思い通りには動かない。
サンジは驚くほどの素早さで、テーブルクロスをゾロに巻き付けた。
そして、呆気に取られるゾロを肩に担ぐ。
「体もクロスも汚しちまったからな〜、綺麗に洗わねえと」
ニタリと笑うその顔に、ゾロの顔から血の気が引いた。
抵抗しようにも、体に巻きつけられた布が動きを封じていた。
「テメっ…ふざけ…」
「あーんまり大声だすと、皆に聞かれちまうぜ?」
「……っっっ!!」
「ま、どうせバレてるか?今日のあんたの喘ぎ声、すんげぇ腰にキたぜ?あんなにヨがっちゃってさ」
「……っっっっ!!!」
「あれじゃ、丸聞こえかもな〜」
軽やかな足取りで、サンジはキッチンを後にする。
第2ラウンドに突入するまで、あとわずか。
うちのサンちゃんはSっ気たっぷり。
ゾロを苛めて可愛がって愛してまた苛めて…。
「こんなのまだまだ序の口さ」なんて思ってるに違いない…。
でも、ゾロが本気で嫌がることはしない主義。だってお互い楽しみたいじゃん?ってなもん。
サンジ曰く、「ゾロはドMだぜ?照れながらも楽しんでるからいいんだよ。相性バッチリだな、俺ら」
(変態度・中)