038:指
心地いい気怠さの中で、ふと隣で寝転ぶ男の指が目に入る。
思わず、といった風に、その手を取る。
「ん?どした?」
その問いには答えず、握ったり開いたり撫でたりしつつ、手を観察した。
先程までさんざんゾロを翻弄していた指はすらっと長いが、大きな男の手だ。
小さい頃のものだろうが、切り傷や火傷の痕もあった。
大きなフライパンを振るうせいだろうか、豆がつぶれた痕もある。
(この辺は、俺のと一緒だな……)
ゾロにも同じような痕があるので、なんとなく嬉しい。親近感を覚える。
―――――――この手で、俺は今まで生命を支えられてきたのだろう。
生命を維持する食べ物を作り出す手。
肉体を作る食べ物を作り出す手。
いつも己に、安らぎを与えてくれる手。
……時には掻き乱すような快楽を生み出す手。
それはいつの間にかゾロにとって、かけがえのない愛しいものになっていた。
いや、料理人の信念を感じ取った瞬間から、何か崇高なものを抱いていたのかもしれない。
それが惜しみなく自分にも注がれているのが嬉しかった。
手のひらを、指を、丁寧に撫でながら穏やかに笑い、ちゅっと指に口付ける。
それはまるで、尊ぶかのような恭しさだった。
これからも、この信念に己は尊敬と敬愛と、少しの気恥ずかしさを持ち続けつのだろう。
サンジは、ゾロのその仕草に真っ赤になり、しかし、振り払うなんてことはできるはずもなく、ただ見惚れていた。
どの辺が情事の後だいってかんじですが。
ゾロはサンジくんの手が大好きです。見て大好き触って大好き。
落ち着くし尊敬してるし愛しいし情欲するし(笑)。
サンジくん本人は?ってくらい愛してます。