049:中毒症状 一度目は、ただの偶然だった。 目が合った瞬間、俺のものだと決めた。 奴のコトを調べるなど、造作もない。 二度目は偶然を装って近づいた。 敵であろうが関係なかった。 言葉を交わして、ますますのめり込んだ。 三度目で、抱いた。 抱いても抱いても体の熱が収まらなかった。 喘ぎ、善がる姿に、もう抜け出せないと感じた。 四度目は、敵として相対した。 けれど確信していた。 あいつに俺は殺せない。 その銃が下ろされることを、俺は知っている。 捕らえた獲物は、自ら俺の腕の中へやってきた。 自ら望んで、鳥籠の中の鳥になった。