「よし。ヤろう」
「何をだ?」
「愛の確認」
「は?」
「あれ、ゾロ、やったことない?」
「だから何をだ」
「だから、………ごにょごにょごにょ」
「っっっ!?」
「な?」
「なんでっ……!」
「だから、愛の確認」
「あっ………愛……!?」
「よし!すべて俺に任せろ!」
「まっ……待てぇーーーーー!!」
愛の確認、新たなる世界
「そ、そもそも……一応俺達は男同士だろ?どうやってやるんだよ……」
「その辺は俺に任しとけ」
「お前は前に……その……あるのか?経験が……」
「あれ、気になる?」
「そうじゃないけど!その……人間とは、出来ないだろ?」
「心配しなくても、体を重ねたいと思ったのはお前ひとりだよ」
以上、すべてサンジがゾロを床に押し倒した状態での会話である。
顔に、首筋に、キスの雨を降らせながら、体のラインを辿るように指で撫でる。
「着物って、いいな」
似合っているという意味と、脱がせやすいという意味を込めて呟く。
胸元から手を差し入れ、ぐいっと広げる。
「………何だ、コレ………」
現れたのは、左肩から右の脇腹まで長く伸びる傷痕だった。
新しい傷ではないだろうに、消えずにそこに残っている。
「……あぁ、昔に、ちょっとな」
顔をしかめるサンジに、ゾロは苦笑する。
話す気はないようだと判断すると、サンジは態と傷痕に沿って舌を這わせていく。
ついでとばかりに胸の飾りを口に含み、舌で転がした。
「なぁ、くすぐったい……」
「気持ちよくねぇ?」
「うーん………」
恥ずかしげにしながらも首を捻る姿が可愛いなと思いつつ、まだここだけでは感じないかと、以後開発することを心に決める。
胸を口で愛撫しながら、今度は手を下半身に持って行く。
着物をはだけさせ、太腿の内側を撫でると、ゾロが身を捩る。
「ここ、イイ?」
「だからくすぐったいって」
「うーん……色気ねぇなあ」
「そんなもん求めるな」
と文句を言うが、ゾロのモノに触れた時は、さすがにゾロは慌てたように手のひらで口元を覆った。
まだやわらかいそれを愛撫し、快感を引き出そうとする。
「さっ…さわるなっ…!」
「なんで?さわらなきゃ進めないでしょ?」
やっとゾロが欲しい反応を返しはじめたので、サンジは調子づいて後ろにも手を伸ばす。
「ばかっ!どこさわってんだ……!」
「まあまあ。ゾロは感じてればいいからさ」
兆しを見せ始めた前に便乗し、後ろもやわやわと解しはじめる。
何度も己の唾液で指を湿らせ、頃合いを見計らってくぷっと指の一本を浅く埋め込む。
びくんと身を竦ませたゾロはそこでようやく、何をされるのかに思い至った。
「な、なぁ……」
「ん?」
「もしかして……」
「うん」
「ソコに、………入れるのか?」
「当たり」
にこやかに答えたサンジのその嬉しそうな顔に、ゾロは眩暈を感じた。
信じられない、ありえない、と心の中で呟いているあたり、まだ余裕があると言える。
恐慌状態に陥ったのは、サンジがその凶器を露わにした時だ。
ゾロは、今まであまり勃起したとこはない。
体はほぼ人間と同じように創られているが、子をなすわけではないのでその必要がないのだ。
それでも一応、本当にたまには自然現象として起きる。
今はサンジによって、初めて与えられた快感として起きているわけだが。
その、あまり見たことはなくとも己のそれよりも、サンジのものが大きいのがわかったのである。
それを、入れる、と言うのである。
本来の用途ではないその器官に。
逃げようとする体を、サンジが押さえ付ける。
あくまで、笑顔で。
「ムリだっ……!」
「だいじょーぶだって」
「入るわけねえっ!」
「試せばわかるよ」
「裂けるに決まってる!」
「すぐに気持ちよくなるって」
「オレを殺す気か!?」
「うん、じゃあ望みどおり天国にイかせてあげる」
聞く耳を持たないとはこのことだ。いや、むしろ言葉が通じないと言った方がいいかもしれない。
ゾロは抵抗の無駄を悟った。
悟ったが、諦めきれるものでもなかった。
こんなにも神に祈りたいと思ったことは今までになかった。
しかし祈りたくとも、祈るわけにはいかなかった。それも無駄だからだ。
祈る相手がコレなのだから。
「ぅあ、あ、あ、あ、あ………」
「……っ、さすがに、初めてだとキツイな……」
できるだけ傷つけないようにと、サンジはゆっくりと体を進める。
そのゆっくりさはゾロにとっては苦痛だろうが、急に奥まで進めると本当に裂けてしまいかねない。
何度も息を大きく吐きながら、ようやくすべてを収めた。
ゾロは浅い息を繰り返し、できるだけ動かないように努めていた。
「ゾロ……」
呼ばれて、閉じていた目を開ける。
そこには苦痛の元凶がいるわけだが、その顔が優しげにゾロを見つめている。
(タチが悪ィ……)
どんな表情でも、憎めない顔をしているのだ。
どんな時も、ゾロを大切に想っていることがわかるから。
仕方ない、という風に、苦笑する。
そのゾロの表情に何を勘違いしたのか、サンジがへらっと笑ってとんでもないことを言った。
「とりあえず、最初の1回はサクっといくから。そしたら平気になると思う」
「え?は?」
言うやいなや、激しくゾロを揺さぶり始めた。
「うぁっ、やっ……やめろっ、動くなっ!」
「やべぇ……ゾロっ、気持ちいっ……!」
「ぁっ!っぅ……!」
何を考えているのか、お互いに気持ちよくというより、イく為だけのような行為に、ゾロは声にならない悲鳴をあげた。
よくぞ傷つかずに済んだものだと思うほど、激しい動きだった。
「ゾロっゾロっ、いくぞっ!」
「っ…!くぅ……っ、っあああ!」
熱い欲望を、サンジはゾロの中に叩き込んだ。
ゾロが体に異変を感じたのは、乱れた息を整え、心の中でサンジに罵声を浴びせていた時だった。
何が気持ちよくだ。自分がイきたいだけだったんじゃないか。最低だこんな奴。
などと考えながらもなぜ直接文句を言わなかったのかというと、あまりに過激な行為に一気に疲れ、声も出せなかったのである。
しかし。
「あ…?」
何か、違和感がする。
初めに気付いたことは、体の熱がどんどんと上がっている気がしたことだ。
奥底で何かが疼いているような妙な感覚だった。
次に、先程の行為で萎えてしまっていたゾロのモノが、触れてもいないのに起き上がり始めた。
今までに経験したことのない異変に、ゾロは焦った。
体を繋げてしまったことで、大変な事態を招いたのではないかと思ったのだ。
「サンジっ……何か、ヘンだ……離れろっ」
まだ繋がった状態だったサンジを押しのけようとしたが、サンジはそれを許さなかった。
「大丈夫、おかしなことじゃない。当たり前のことなんだよ」
「何がだっ」
「お前さ、俺にキスされた時の状態、覚えてるか?」
覚えているに決まっている。つい先程のことなのだ。
消えかける己に生気を吹き込み、生命を繋ぎとめてくれたのだ。
「霊験あらたかな俺様のキッスで体力回復・生命維持。じゃあセックスはなんでしょう」
「セッ…!」
慣れない言葉に動揺するゾロも可愛いなぁなんて楽しみながら、サンジは続ける。
「キスだけでその効果なんだから、それ以上は余分な熱ってことになる。熱は体に蓄積され、欲に訴えかける。
つまり俺のモンがお前の中で弾けたことで……」
いやらしく、ゾロの耳元で囁く。
「媚薬効果になったってワケ。効力絶大だぜ?何てったってお前のカミサマだし?」
こんな神でいいのか。
ゾロは真剣に、この世界の未来を案じた。
「あっ、あぁっ……!」
ゾロは乱れに乱れた。
腸に直接媚薬を塗られたようなものだ。
ただ訳もわからず、サンジにしがみついているしかできなかった。
体を重ねれば重ねるほど熱は上がる一方なので、終わりも見えない。
「サンジ、サンジっ!」
「ははっ……ゾロ、すげぇっ、思った、より、激しい、なっ!」
「あっ、ソコっ!ああっ!」
突き上げながらゾロの感じるポイントを探り、的確にそこを突いてくる。
一度イイ所を見つけると執拗にそこばかりを狙い、声を押さえることも忘れたゾロを啼かせる。
何度も精液をゾロの中に注ぎ込んだため、すでにそれは溢れ出していた。
ゾロはといえば、注がれるたびに熱を上げ精力は増すばかりなのに、体がついてこないというもどかしさを感じていた。
腰は砕けきっているのにサンジを求めてしまうという、快感地獄に陥っていたのだ。
もういやだ、やめてくれとゾロが訴えはじめても、これからだとばかりにサンジは腰を動かし続けた。
サンジがゾロに熱を与えているのと同時に、ゾロもサンジに同じものを返している。
ふたりはそういう関係なのだ。お互いに、必要とし、されている。
「ゾロ、またっ、いくぞっ!」
「あっ、ああっ!サンジ!サンジぃ!」
共に体が根を上げ、動けなくなってようやく、この初めての行為が終わりを告げた。
「ぁー………」
「うわぁ、セクシーな声」
「誰が、こんな声に、したんだ……」
喘ぎすぎて掠れきった声になっても、ゾロはきちんとサンジに悪態をついた。
ふたりは床に寝ころびながら、息を整え、体の熱を冷ましていた。
倦怠感が体を包んでいるが、それが心地いい。
「どうよ」
「…ぁ?」
「初体験」
「…………………」
「そんな目で見んなよー結構ヨかったろ?」
「………痛かった」
「初めだけな?」
「………うるさい」
ゾロ自身驚いていた。
まさか己があんな風になるとは思ってもみなかったのだ。
思い返すと恥ずかしすぎるので、あまり考えないようにしようと、耳を赤くしながら思う。
「なー教えてよ」
「…………………」
「どうだった?」
にこにこと憎めない顔で見る。
半ば投げやりに、ゾロは答えた。
「………新しい世界を見た気がするぜ」
その声があまりに苦々しかったので、サンジはケラケラと笑った。
神なふたりのその後、初H話でした。
ゾロは激しいらしいです(笑)。
書いててなんだかギャグテイストな気がしたので、濃厚エッチはあまり書きませんでしたよ。
脳内補完でお願いします(笑)。