甘い薬



「なぁ、これ……」
今回はちょっぴりいい宿に…と思い、いつもよりもしっかりとした造りのおしゃれな宿だ。
あんなことやこんなことも…という下心もあり、防音設備が整っている所に決めた。
その宿に入ってシャワーを浴びて、出てきた俺にゾロが言った。
ゾロが持って来たものに、俺は驚きを隠せなかった。
「なっ……お前、こんなもん何処で…」
ゾロが手にした小瓶、それは所謂媚薬というやつだった。

事の発端は、たどり着いた港町で俺とゾロがデート(まぁ買い出しってやつだ)をしていた時だ。
俺が店の親父と値段交渉をしている間、路地に店を構えるちょっとばかり妖しい店の老婆に声をかけられたらしい。
で、どんな話をしてたかは知らないが、ゾロは購入する気になったようだ。
そんなに高い代物ではなかったというのも理由の一つだろう。
けど、ゾロが媚薬……。
俺が買ってゾロに飲ませる…ってパターンなら考えたことあったけど(残念ながら実行には至っていない)、ゾロが買うだなんて…。
俺は張り切っちゃっていいのか?そういうコトなのか!?
媚薬を買うってことは、俺にアプローチしてんだよな、ゾロ?
「ゾロ、お前……いいのか?」
「……たまには俺だって、そういう気分の時もある」
真っ赤になってそっぽを向いてぼそぼそと話すゾロに、俺は今にも理性が焼き切れそうだった。
か……可愛すぎる…!!
しかもゾロ、服は着ずに下着だけ履いて俺を待ってたんだぜ!?
据え膳食わぬはってな!
「2人で、飲もうか」
「……ホントに効くのかは知らねェからな」
「ああ。いいんだよ、ゾロがその気だってことが嬉しいからさ」
「…うるせェ、さっさと飲むぞ」
「はいはい」
2人してベッドに並び、まずは俺は小瓶に口をつけ一気に呷る。甘い、どろっとした液体が口の中に広がる。
そのままゾロに口付け、媚薬をゾロにも飲ませる。
舌を絡ませ深く味わっていると、コクンと飲み込む音が聞こえた。
俺の舌使いに翻弄されているゾロが可愛くて、いつも長々とやっているが、今日はゾロの変化が見たくて短めに切り上げる。
「なぁ、これって即効性?」
「とは言ってた」
髪に、額に、頬に、唇のすぐ隣に、俺は軽いキスをゾロに送る。
心地よさげにそれを受けていたゾロだが、徐々に顔が赤くなっている。息もあがってきたようだった。
俺はといえば、やはり体が熱くなってきた気がする。
「効いてきた?」
「……本物、だったみてェだな」
薬が効きやすい体質なのだろうか、ゾロはすでに効果てきめん、力が入らないようで俺に凭れかかってきた。
「ゾロ……熱い…」
「…はぁ、うるせ……てめェだって同じだろ…?」
「俺はお前ほどじゃないぜ?こりゃ楽しめそうだな」
早速俺はゾロをゆっくりベッドに押し倒し、唇から首筋、胸と順に舌を這わせていった。
男のくせに肌は滑らかで触り心地がいい。程よく筋肉が付き均整のとれた体を貪るのは、俺に優越感を与えた。
「あっ」
胸の飾りを口に含むと、艶っぽい声が聞こえた。
「あ、やっ……んんっ……」
その声に気をよくした俺は、さらにイイ声を引き出そうと、もう片方の胸に指を這わせる。
周りをなぞり、指の腹で頂点を掠めると、甘い声が聞こえる。
「ああ……ん、はぁ……」
あんまり焦らすと、今日は俺もゾロも挿れる前にイっちまいそうだ。
それでもいいが、媚薬が効いてきた俺はすげぇ燃えてきた。めちゃくちゃ、抱いてやる。
胸の愛撫も早々に、するっと手を下に移動させる。
下着の上から、すでに勃ち上がっているものを撫でる。
「ああっ、んっ……!」
突然の直接的な刺激にゾロの体が跳ねる。やわやわと触れていると、ゾロの腰が揺れ始めた。
「あっ、焦らすな……サンジっ!」
すでにかなり熱が高まっているらしい。先走りが下着を濡らす。お漏らしみたいで、なんかヤラシイ……やべ、鼻血出そう…。
下着を剥ぎ取ると、勢いよくゾロのモノが飛び出る。こりゃ一度出さないとキツイか?
先にイかせてやろうと思い、手を添えて上下に動かす。
「あ、やああ!サ……ジ、だめ…っ!」
ゾロの手が俺を止める。何で?出さなきゃ辛いだろ?
「まだ、イきたくない……」
うわっ、ヤバ!息の上がった赤い顔で言われた日にゃ、俺がイっちまうじゃねぇか!
うるうるした目で見られ、俺に嗜虐心が生まれてしまった。
……ゾロ、覚悟しろよ?お前が悪い。
まだイきたくないと言ったゾロのそれを握り込み、出せない状態にしてやる。
「じゃあ、しばらく我慢してろよ?天国、見せてやる」
にやりと笑った俺の顔は、おそらく凶悪な雄の顔になっていただろう。
ゾロはそれを見てビクンとなるが、その顔は恐怖じゃねぇ、期待してんだろ?
俺は見せつけるように指を舐め、唾液を絡める。もちろん、人差し指と中指の2本を同時に、だ。
わざと、まるでゾロのモノを咥えているかのような舐め方をする。
ゾロの目は俺の指に釘付けだ。お前、俺の指好きだもんな?これで楽しませてやるからな。
「想像しちゃった?コレを突っ込まれるの」
「あ……」
「欲しい?」
「…っ、早く……欲しいっ……!」
ずっ!と、唾液で濡れた指をゾロの後ろに勢いよく突っ込む。
「あああっ!!」
そのままぐちゅぐちゅと掻き回す。
これも媚薬の効果だろうか?まだ解していないそこは、すでに俺の指2本を悠々と飲み込んだ。
ゾロが一番喜ぶ前立腺を激しく攻め立てる。
「あっ、あふっ、……んん、ああっ!あん!」
イけないように出口を塞いでいるせいで、欲望が体の中を渦巻いているのだろう。
顔を真っ赤にし、感じ入る姿はすげぇクる。
遠慮なく、ゾロが一番感じる部分を突きまくった。
「――――――――っああ!」
ビクンビクンと、ゾロの体が跳ねる。出さずに、後ろだけでイったようだ。
ドライ…ナントカって言うんだっけ?すげぇ気持ちよさそうに体を震わせている。そんなにいいのかよ?
だったら、もっかいイっとくか?
「っ!?ああっ!まだ……ダメ、サンジっ……!あっ!」
まだ震える体に更に刺激を与える。2本の指を容赦なく抜き差しする。
ゾロの中が絡みついてくる。気持ちいいだろ?
「あ、あああ!っあああん!!」
再びビクビクと震える。これ、出さないから何度でもイけるんだってさ。
次の日の疲労感は並じゃないらしいが、この時のゾロは壮絶に色っぽくて可愛いんだ。
やめられるわけ、ない。
「あ、ああ!や……もう………っ、はああ!!」
やべぇ、楽しい、楽しすぎる。

ひたすら突きまくっていた手をぴたりと止める。
………来た。
ゾロの空気が変わった。瞳の色が翡翠からもっと濃い色になる。
ゾロは、何かをきっかけに豹変する。そのきっかけがどんな基準なのか俺には分からないが、確実に変わるのだ。
今日は、吐き出せない快感がゾロの何かをふっ切ったのだろう。
豹変したゾロは、ひどく淫らで積極的だ。
いつもの恥ずかしがりながらもあんあん喘ぐ姿もいいが、迫ってくる姿も腰にクる。
……ほら、目が挑発的に誘ってくる。
「サンジ……焦らすな……」
自ら足を大きく開き、俺のものに手を添えてくる。俺は、促されるままにゾロに覆いかぶさる。
俺は指を抜き、ゾロは今まで俺が弄っていた場所に俺を導く。
まるで闘いでも挑むような目で俺を見据え、にやりと笑う。
「お前の、くれよ」
その瞬間、俺の理性は焼き切れた。
勢いよくゾロの中に入り込み、奥までズンと突く。
「ああっ!!」
その衝撃にゾロは喘ぐ。続けざまに俺が腰を振ると、ゾロは狂喜した。
「あっ、あああん!もっと、もっとぉぉぉ!!」
まるで獣のような勢いで繋がり、あっという間にお互い精を吐き出した。

そこからはまるで怒涛のようなセックスだった。
俺はとにかく必死になってゾロを喘がせた。
ゾロはといえば、後ろから突いても俺の脚の上に乗せても喜び、仕舞いには俺を押し倒して腹の上で自ら腰を振っていた。
2人して媚薬を飲んだせいでその終わりは見えず、2人とも並ではない体力を持つおかげで果てるまで貪り続けた。
幾度目だったか、ある程度吐き出したゾロは普段のゾロに戻りつつあった。
そして最後に泣きながら許しを請うまで俺は攻め続け、ゾロの体を堪能した。
荒い息を吐きながら2人でベッドに倒れ込む。
ひどく疲れた……が、なんとも言えない充足感が体を満たしていた。
俺でこんなにも疲弊してるってことは、ゾロは相当だろう。
……ちょっと無茶しすぎたか?負担は圧倒的にゾロの方が大きいんだし…。
いやしかし、誘ってきたのはゾロだ。しかも今日は見事な豹変ぶりを見せてくれた。
思い出すだけで今にも勃ちそうだが…生憎体の方は限界だったらしい。
そりゃそうだ、何回ヤったんだ今日は……。
数えるのも面倒なのでそんな考えは頭の隅に追いやり、ゾロを見る。
…………ああ、やべぇ、これだけヤってまた勃ったら、俺は相当な変態だろう。
元々変態だろうとかいうツッコミは無視するとして、ゾロの姿といったら……鼻血ものだ。
俺が出したものはほとんどゾロの中だから、これは恐らく大半がゾロのものだろう。
腹に、足に、顔に、至る所に精液が飛び散っている。
すでに乾いているものもあれば、まだゾロの肌の上を流れるものもある。
あぁ、この姿を写真に残してぇ……。
………………………。
いやいやいや!見とれてる場合じゃねぇ!
これと同じくらいの量がゾロの中にまだ残ってる。放っておけば、確実に腹を壊す。
それはさすがに忍びないので、疲れきった体を起こしてゾロのそこに指を当てる。
「……っあ!」
「大人しくしてろって。後始末するだけだから」
疲労困憊といったところか、半分意識を飛ばしつつも体を捩るゾロに、俺は極力優しく指を埋め込む。
2本を差し込み、軽く入口を開けてやると、それだけでトロトロと白いものが溢れてくる。
……どんだけ盛ってたんだ、俺ぁ。
媚薬効果とはいえ、己の絶倫さ加減に苦笑を禁じ得ない。
傷付いてはいないようだが、そこはひどく赤らんでいた。
明日…いや、今日は一日立てねぇかもなあ。
それはそれで嬉しい気もする。一日面倒を見てやろう。
きっと顔を真っ赤にして不貞腐れるんだろうけど、文句言えねぇんだろうなあ。
なんせゾロからのお誘いだったし。
嬉しいことに、豹変した後のことも、どうやら本人は覚えているらしい。
後で恥ずかしくて居た堪れなくなるのはわかってても、止められないんだとさ。
にやける顔を止められないまま、疲れた体に鞭打ってゾロを抱え風呂場へ向かう。
これが終われば、2人で心地よい眠りに身を任せよう。
そして、甘い一日を過ごしてみるのもいいかもしれない。















豹変した後のゾロも書いてみたかったのですが、力尽きました…。エロって大変…。
ゾロだってたまにはそういう気分になります。サンジくんを誘ってみたりします!
そして喜ぶんだけどサンジくんの絶倫ぶりにちょっぴり後悔するのです。あ〜可愛い…。