2.「どうなっても知らないぞ」
「んんっ……ん……」
「なぁゾロ、声出せって」
「………っ!」
「ったく、意地っ張りだなぁ」
「ひぁっ……!」
俺とゾロは、現在愛の営み中だ。
ゾロと想いを交わして以来、何度か体を合わせているわけだが、どうにも素直になってくれない。
声を上げるのにも抵抗があるのか、ひたすら自分の手で口を覆っている。
これじゃキスもできやしねぇ。可愛い声が聞きたいんだけどな〜。
気持ち良くはなってくれてると思う。
ゾロが反応するトコロも見つけたし、漏れ聞こえる声は苦痛の声じゃなく、快感に染まっている。
イイ?って聞いても、首を横に振るばかりだが、まぁこれは照れ隠しだろう。
最後にはちゃんとイってるしな。
どうやったら素直になってくれるんだろうか…。
単に恥ずかしいだけか?
俺は、ゾロの中を動き回っていた指を一度引き抜き、顔を覗き込む。
「なぁ、何我慢してんだ?」
「…………?」
真剣な俺の声に気付いたのか、口は覆ったままだったが、俺を見てくれた。
「俺はさ、ちゃんとお前にも気持ちよくなってもらいてぇんだ。俺だけが気持ちいいのって違うだろ?……俺とすんの、嫌か?」
「…………別に、嫌なわけじゃない……」
それを聞いて、ちょっと安心する。
もちろん初めにする時にちゃんと確認したし、ゾロが嫌な相手に体を許すなんてこと、するわけないのは分かってる。
でもこうやって、気持ちを口にしてくれると、やっぱり安心するだろ?
「俺はお前の声を聞きたいし、素直に感じてほしい」
「……………」
「我慢なんてしてほしくねぇ。お前に無理させたくねぇ」
「……………」
「初めは恥ずかしいって思うかもしんねぇけどよ、俺はありのままのお前と愛し合いたいんだよ」
……なんか俺の方が恥ずかしいこと言ってねぇか?
いや、かまわねぇ。これはおれの正直な気持ちだ!
「なぁ、ゾロ……」
親指をゾロの唇に這わせる。吸い込まれるように口づける。
………うん、なんか、甘いんだよな、コイツの唇。
求めるように追いかけていたら。
ゾロが、おずおずと答えてくれた。
今までされるがままだったゾロが、ちゃんと答えてくれたんだ。
俺は嬉しくなって、更に激しくゾロを求めた。
「ん……ふっ……」
開きっぱなしの口の端から、銀糸が伝う。
鼻から抜けるような声が聞こえる。
興奮の余り、さっきより元気になったムスコがゾロと擦れ合う。
「はぁ……はぁ……なぁ、サンジ……」
「ん?」
ようやく離れた唇が、求めていた言葉を紡いだ。
「どうなっても知らないぞ」
それは、ゾロが俺を受け入れてくれた言葉だった。
つまり、素直になると言ってくれてんだな!?
俺はさぞ弾んだ声になっていただろう。ゾロに問いかけた。
「どうなるんだ?」
「……さぁ……やったことねぇからわかんねぇけど……なんか、大変なことになりそうな気がする……」
やったことねぇ、つまり、初めてのお前を俺に見せてくれるってことだよな!
「どんなお前でも大歓迎だ。我慢させるより、ずっといい!」
俺はよっぽど意気込んでたんだろう。ゾロがクスッと苦笑いする。
「……悪かったな。なんか……今まで……どうすればいいか、わかんなくてさ……」
なんて言っちゃう顔は可愛らしすぎて鼻血もんだ!
俺とのセックスに、多少なりとも緊張して、素直になれなかったんだな!
なんちゅー乙女だ!
そんな男を好きになってしまったが最後、俺がトコトン可愛がってやるよ!
改めてひとつ口づけ、それを合図に俺は再びゾロの秘部に手を伸ばした。
先程まで解していたせいで、すんなりと迎え入れられる。
今までと違ったのは、ゾロが素直になろうとしてくれてることだ。
「ん……ぁ……あぁ……」
口を覆う事をせず、感じるままに声を出す。
時折手を口元に持って行こうとするが、少し躊躇った後、俺の体に添えてくれる。
俺はゆっくりと、しかし確実に前立腺を刺激した。
「あっあっあっ……!」
ソコに当たるたびに、ゾロの口から喘ぎ声が漏れる。
同時にゾロ自身から、蜜が溢れ出てくる。
くるっとまわし、何度か抜き差ししてまた刺激し、時に奥まで潜り込ませる。
ふと、ゾロの体から力が抜けた瞬間に、指を二本に増やす。
「あぁっ!」
くちゅっと音をさせ、今度は前立腺を少し外しながら、先程より速く指を動かす。
ゾロの中は気持ちいい。
熱くて、絡みついてくる。
態とゾロに聞こえるように音を立てながら、今度はちゃんと前立腺を狙っていく。
「あああっ、んふぅ!っ、んっんっ、あぁん!」
初めて聞くゾロの喘ぎに俺は興奮し、動きを止めることなく責め続けた。
「やっ、サン……っ!あっ、ダメっ……はあっ!」
ゾロの手が空中を彷徨い、俺の腕を掴んだ瞬間、何かが変わった気がした。
俺は、ぴたりと動きを止める。
……ゾロの瞳の色が変わった。
「………焦らすなよ、サンジ……」
言うやいなや、形勢逆転?俺はゾロに押し倒された。
「へ…?ゾロ……?」
「もっと……気持ちよくしてくれんだろ……?」
ニヤリと笑った顔は、まさに妖艶。壮絶な色気を放っていた。
何を?と思った次の瞬間、ゾロは俺のモノを手に取り、ペロッと舌で舐める。
……やばい、エロすぎる。
言うまでもなく、俺はすでに準備万端だ。
ゾロもそれを確認したのか、手を添えたまま、そこに自分の腰を落とし始めた。
「あ…あ………」
ぐちゅっと、俺を飲み込んでいく。
俺の上に跨り、足を広げて腰を下ろしていく様は、今までのゾロからは想像もできず、ただ茫然と眺めるだけだった。
「ふ…う……、入っ…た……」
完全に収まると、はあっと大きく息を吐き出し、また俺を見て、ニヤリと笑った。
「満足、させてくれよ?」
そう言うと、ゾロはいきなり激しく、腰を動かし始めた。
「あん、あん、あぁっ!!」
ぎりぎりまで引き抜いては腰を深く落とし、何度も何度もそれを繰り返す。
時々、円を描くように腰を回し、前後に揺すり、また抜き差しを始める。
よっぽど気持ちいいのか、汗を撒き散らしながら喘ぎまくる。
「あっ、あっ、お前、もっ、動けっ!」
思うがままに動きながら、俺にも求める。
驚きで止まっていた俺の体は、次第に熱に浮かされるように動き始めた。
ゾロが下りてくる瞬間を狙って大きく突き上げる。
その瞬間、ゾロがひときわ大きく喘ぐ。
「あああっ!!」
電流が走ったかのようにゾロは背中を振るわせ、しかしそれでも止まろうとはしない。
俺は何度もゾロの中に打ちつけ、想いをぶつける。
「ゾロ、ゾロ、ゾロっ!」
「あっ、あっ、サンジっ!」
「好きだっ、ゾロッ!!」
「あ――――――――っ!!!」
ピィンと気持ちが頂点に達した瞬間。
ゾロが俺をぎゅっと締め付け、大量の精液を吐き出し、俺もゾロの中にすべてをぶちまけた。
「はぁ……はぁ……はぁ……っ」
「ぜぃ…ぜぃ……」
お互いまるで全力疾走をした時のように息を切らしている。
ゾロはそのまま俺の胸に倒れこみ、俺はゾロの体を抱きしめていた。
「お前……すげぇ……豹変すんのな……」
これには驚いた。
素直になってほしいとは言ったものの、あんなにエロいゾロを拝めるとは思ってもみなかったのだ。
まさかあんなものが隠されていたとは……。
「……俺だって……初めて知った………」
恥ずかしいんだろう。顔を埋めて、上げようとしない。耳は真っ赤だ。
「へへっ、いいもの見ちったな」
「何がいいものだっ!」
怒った顔でがばっと起き上がるが、ビクンとゾロの体が跳ねる。
「あっ…!」
まだ繋がってんだ、当然だろ。
「でも、俺は嬉しいぜ?お前が素直になってくれてよ」
「素直って……」
なんか違う気がする、と呟く声が聞こえるが、俺は気にせずぎゅっとゾロの腰に抱きつく。
「せっかくだから、もう1ラウンド、イく?」
「バカっ、もうっ……!あんっ!」
新たなゾロを知ることができて、俺は嬉しいぜ?
二人で、気持ちよくなろうな!
な?ゾロ。
ゾロの初「豹変」物語(笑)。
ゾロをエロくさせたい!との思いで生まれたこの設定。
ありえないゾロもこれで書けるので、個人的に楽しい設定(笑)。